明治29年頃の地図を見ると、現中島公園の南端、「鴨々川」が始まる「対山橋」の辺りは、「カムム」と記されている。この語は、鴨々川の語源に関係すると思われるが、そのことを明確に指摘している人は、市民地名研究家?のG氏だけだろう。G氏は、この地図に記載された「カムム」が「カム々」の誤りで、これが鴨々川の由来だろうと推測している。
さっぽろ文庫1「札幌地名考」によれば、鴨々川の語源としてはいくつかの解釈があって、①サケを採る曲げわっぱ(高倉説)、②京都の鴨川に因む(田中説)、③昭和4年に造られた料亭・鴨川の名に因む(古老説)、④往年川筋に鴨が多くいたからという説、などがある。
私の説は、G氏の云うアイヌ語由来説には賛成だが、「カムム」の解釈が異なる。「カムム」とはどんな意味があるのか? アイヌ語でも日本語でも「神」の語源は、「カミ」、または「カム」からきていると云う。そもそも「上」という意味の言葉だったらしい。アイヌ語の「ム」とは、「塞がっている」または「塞ぐもの」という意味があるそうだから、まとめると「カムム」とは、「上(流)の方で塞ぐ」という意味ではないかと私は推測している。
明治29年頃の地図には、対山橋の前身と思われる橋が記されているから、早くから水門のような施設がここにあってもおかしくない。
明治29年頃の中島周辺
現在の鴨々川の豊平川取水樋門