知津狩川を渡ってすぐ、バスは国道から左に折れ、川に沿った道に入る。この辺りは新しく開かれた土地らしく、その名も「新開地」と称している。1キロほど川沿いの道を海岸に向って走ったバスは、今度は北に道を折れて海沿いに進む。途中、石狩市のゴミ焼却場「衛生センター」の建物と高い煙突を左手に見て、「知津狩」の集落を経てさらに北へ「無煙」の集落を目指す。
無煙という地名はアイヌ語起源ではないようだが、この近くで昔石油が出たことを思い浮かべると、妙な符合に驚かされる。無煙の集落を外れたところで、道は二股に別れて、右側の道は海岸段丘を上って「望来」に至る。学習会の参加者は、ここでバスを降りて細い左側の「無煙浜」への道を歩き出す。浜が見える砂交じりの道脇には木造の廃屋が点在して、既に生活の匂いは失せている。
無煙浜の廃屋
浜に出ると波打ち際には様々な漂着物が打ち上げられている。プラスチックや空き缶の多くには、ハングル語、中国語、ロシア語が混じり、遠く日本海の対岸から流れ着いたものと思われる。漁具や浮き具の他に、アナゴの漁具やタコツボもある。先週まで大雨台風が通ったせいか、河川由来の木枝のくずや千切れたコンブが大量に海岸線を縁取っている。
無煙浜の海岸段丘の崖(600万年くらい前の形成)
バスを降りて北へ歩くこと500mほどで、化石を採集できる海岸段丘の崖下に着く。博物館活動センターで借りた地質ハンマーを片手に、砂岩と泥岩との互層を適当に掘ってみると、しばらくして貝の化石がいくつか見つかった。時間をかけてもこれ以上の発見はなさそうなので、今度は波打ち際できれいな貝殻やメノウ探しに転ずる。
採集物(左上:貝の化石、左下:メノウ、その他:貝殻類)