私は、中学2年の頃から学生生活を終え道外に出るまで10余年ほど「宮の森」に住んでいた。当時の昭和30年代初めの宮の森地区は、琴似町と札幌市が合併してまもなく丘陵や傾斜した畑地が多い牧歌的風景で、やっと住宅地として発展が始まった頃だった。現在のような、高級住宅や豪華な邸宅などはまだ一つも見かけなかった。そんな土地を徒歩、自転車や市営バスに乗って、琴似や桑園方面に通学していたわけで、私のなつかしき青春時代とともにあった。
札幌神社(現在の北海道神宮)の表参道正面の第二鳥居を左手に見て、神宮前から斜めに宮の森地区へ入っていく道が当時からある。この道の左手はくぼ地になっていて当時神宮裏にあった宮司さんの住宅の前を流れていた細い「北三条川」がここで小池を造っていたが、今は埋め立てられて駐車場になっている。そのまま道の先を進むと、当時からあるS食料品店がまだがんばって営業を続けている。
○S食料品店
食料品店の前から左手の坂道を上って行くと、現在拡幅整備された「北1条宮の沢通」に出る。道路を挟んだこの向こう側は、当時この辺りの住民の利用する商店群があって私もよく利用した。当時内湯のある家は希で皆この一角にあった銭湯に行くのだが、冬の厳冬期には棒のように硬くなった湯上りのタオルを振り回しながら帰宅したのが懐かしい。この道を北西に進むとすぐに「琴似川」に出る。この川の袂に当時からも消防番屋(用具庫)があったが、今では分署も座ってすっかり整備されている。
○琴似川と消防分署