帯広から十勝三股まで約78キロをかって国鉄士幌線が走っていた。東大雪地方の森林資源・材木を育成・伐採・出荷するのが主目的の地方路線であった。大正14年開業の後、昭和30年電源開発のダム建設のため水没する糠平駅と線路を右岸高台に移設したが、モータリゼーションの進展により昭和53年には糠平以北をバスに代替するも、昭和62年には全線廃線となった。


(上士幌町鉄道資料館)
糠平ダムの完成により音更川を堰止めて人造湖「糠平湖」が生まれ、それまで川の左岸(東側)をいくつかの美しいアーチ橋で繋いで走っていた士幌線は、糠平駅ともども一部か湖中に沈むことになり、鉄道は右岸に付け替えられた。以来、湖の水位の低い時期のみに見ることができる幻の橋「タウシュベツ川橋梁」などが鉄道ファンには有名である。

(湖岸に残る士幌線道床跡)
現在、糠平湖畔の西側には、糠平温泉郷を控えて、上士幌町鉄道資料館、トロッコ試乗体験、タウシュベツ川橋梁展望台などが観光施設として整備されているが、それよりも見所はかっての林産資源を彷彿とさせる巨木の見事さである。国道筋から原生林の中を縫ってタウシュベツ川橋梁展望台に行く途中、かっての士幌線の道床跡も見られる。

(タウシュベツ川橋梁と原生林)