江別の近代は、明治4年、仙台藩涌谷領から対雁村への入植が始まりとされ、同11年岩手県より屯田兵10戸が江別太に入地、街の基礎ができる。明治14年より石狩川流域・月形村に樺戸集治監ができて以降石狩川の川運が隆盛となる。さらに明治15年には幌内鉄道が開通し江別駅が開業する。同39年江別、対雁、篠津3村が合併して江別村となり、同41年富士製紙(後の王子製紙)工場が操業を開始し街が発展していく。
(昭和25年頃の江別付近地図)
JR江別駅で下車、駅前の通りを東に進むとすぐ、千歳川が石狩川に合流する河口にかっての川港・江別港があり、明治期から大正にかけて、石狩川や千歳川を経由した、農産物や穀物の運搬・取引で賑わったという。通りにはウダツの付いた商館・倉庫や運輸会社の事務所だった古い建物が残っていて郷愁を誘う。道を南に折れてすぐJR鉄路のガード下を潜って東光橋で千歳川を対岸に渡り、堤防を歩いて「江別河川防災ステーション」に向かう。
(河川防災ステーション)
この江別市の施設は、洪水等の発生に備えて河川防災の資材・道具を常備するとともに、防災の啓蒙活動や江別港の歴史展示も行っている。1階は事務所と特産品の売店、2階には歴史展示物や蒸気動力の水運用外輪船「上川丸」の実物大模型が置かれていて結構楽しめる。エレベーターで3階の屋上展望台に上がると河川周辺の雄大な景色が広がる。残念ながら、川岸には旧江別港の痕跡はまったくなく、現代の強固な護岸堤防が連なる。
(千歳川に架かるJR函館線鉄橋と東光橋)
(国道12号の向こうに優雅な斜張橋の美原大橋