明治30年、文部省は学校単位の植林活動が愛郷心、愛国心、公共心などを養う上、学校財産の造成にも有用と判断して、各地方庁あてに官有地の貸下げ、払下げに関する通牒を発し、学校林による植林活動は全国的な運動へ発展していった。戦後は、国土復興運動として、森林資源の確保、公共福祉への寄与など教育上重要なものとして推進されてきたが、近年では材木価格の低迷もあり、環境教育の場として学校林等を活用して、児童・生徒、教員、地域の森林ボランティア団体等が一体となって森林体験活動などに取組んでいる。
通称「西高山」と呼ばれる学校林は、一般財団法人・札幌西高会が盤渓、南の沢に延べ11万6000坪を所有・管理している。長い歴史の中で蓄えられた豊かな森林資産を基に、全日制・定時制の生徒に対する育英奨学金の給付や、各種学校活動への補助金などを支援している。
(磐渓峠から西高山遠景)
(西高山付近地図)
下磐渓に向けて峠を下って行く途中、道路の左手に「森学舎」の施設が見えてくる。無認可の幼稚園・児童館として、磐渓の自然の中で幼児・小学生の育成・活動の場を提供するという趣旨のようだ。この施設の横を抜けて背後にある山林に上って行く。低山で坂のある雑木林といった感じで、うっすらと上りの踏み分け道が付いている。前日来の小雨でやや足元が滑りやすいが、トレッキングポールの助けで順調に進む。
(バス停と森学舎遠望)
(三叉路標識)
15分ほどで三叉路に到着。立てられた道標によれば、上りは西高山頂上へ、下りは磐渓小学校に出るらしい。西高山山頂への道は、ここからしばらく尾根歩きが続くが、やがて急斜面となり結構息を継ぎながら上って行く。見上げる前方の樹林の背景に青空が見え出すともう頂上が近いようだ。頂上は丸いお椀を伏せたような高まりになっていて、ここに標高340mと記した(財)札幌西高会所有の標柱が立っている。この先、幌見峠へ続く縦走路もあるようだが、休憩の後は磐渓小学校に向けて下山する。
(山頂への道)
(西高山山頂)
元来たルートを戻って途中の三叉路標識から磐渓小学校方面へ下る。小学校裏の山腹斜面は急で山道はこの斜面を巻いて下るのだが、、斜面の随所に地滑り防止の金網を多くの大きなピンで山腹に固定している。初めて見ると何か異様な風景だ。小学校の裏を廻って熊避けの通電柵を跨いで学校のグラウンドに出るところに西高山のガイド表示板が立っている。通常はこちらから上るらしい。
(地滑り防止対策)
(熊避け電気柵)
(西高山ガイド表示板)
グラウンドの端にある、大正11年磐渓小学校独立の際に、殉職された結城先生を追悼する「ああ結城先生」顕彰碑に敬礼してバス通りに出る。磐渓側から峠へと上がって行く途中に「峠のワイナリー」があり、帰りのバスが来るのを待つ間、ワイナリーに立ち寄ってグラスワインを味わいつつ、所有者のご夫妻と四方山話に花が咲き、楽しい一日に満足して磐渓バスに乗り込み、円山公園へと向かう。
(ああ結城先生顕彰碑)
(峠のワイナリー)