JR桑園駅西口を出ると高架ガードの下、鉄工団地通と桑園発寒通に挟まれた南北200mほどの細長い公園敷地があり、「西16丁目緑道」と名前が付いている。駅近という場所柄、植生緑地やベンチ空間よりも駐輪場のスペースの方が広い。緑道の前後2ケ所には案内板が置かれているのだが、ステンレス鋼板に印刷された文字や絵は年月を経て劣化し、殆ど読むことが出来ない。それでも案内板には、大正期まで「桑園地区に住まいする者は、蚕を飼わねばならない」という通達があったという記述には驚いた。確かに桑園では明治以来養蚕でまちづくりを奨めた歴史があるが、そこまで徹底した方針があったとは知らなかった。
(緑道駅西北)
(緑道風景1)
(緑道風景2)
(緑道駅西南)
案内板の別の記述によると、西16丁目緑道の整備費は、近くの「札幌競馬場」を擁す中央競馬会の出資金に負うらしいが、どの範囲までその資金に依拠したのかはっきりしない。西16丁目の街路は、北は下手稲通から南は啓明地区の環状通まで続く長い道路だが、まさかそこまで全て緑道ではない。私の住まいするマンション近くの西16丁目の道路標示版にも「緑道」の文字が見られるので、多分、桑園駅付近だけが外部寄付で、他は市の桑園再開発整備事業の中で進められたものと思われる。
(西16丁目緑道地図)
西16丁目通が道路の両側に緑地帯をとって、車道が4車線から2車線に狭くなった北7条通から北3条通知事公館裏までの間が、白雲木や夏つばき、ハルニレ、ライラックの樹木を主体に、言わば飛び地の緑道となっている。化粧レンガを張り詰めた緑道沿いの歩道のそこかしこには、桑園地区を象徴する版画風のプレートが埋められている。
(路面のプレートと道路標示版)
西16丁目の道路沿いには、多くのマンション群と、市の公共福祉施設「桑園ふれあい(まちづくり、児童)センター」や、内科、泌尿器科、整形外科、歯科、眼科、耳鼻咽喉科など多くの医療施設が集まっている。また、現在でも空き地の所々に細々と雑草化した名残の桑の若木が見られる一方で、桑園駅界隈ではJR北海道本社ビルやガード下の商店・飲食店ががんばっている古くて新しい街だ。
(桑園ふれあいセンター)
(JR桑園駅東口前)
(ガード下の商店・飲食店